平原綾香さんのコンサートを鑑賞して

2023年11月6日、月曜日。
福岡のキャナルシティ劇場へ、平原綾香さんのコンサート鑑賞に訪れた。
2020年に予定されていた北九州でのコンサートがコロナの影響で中止になり、個人的には4年ぶりのコンサートだった。

この間、彼女のお父さんが他界されていて、僕はネットニュースやテレビなどを通じてそのことを知り、僕も僅かに、彼女から映像越しに伝う痛みを感じながら日々を過ごしていた。
だがコンサート当日、様々な痛みを乗り越え、強く優しく歌う彼女を僕は知ることになる。
お父さんは心の中で生きていて、それは永久に失われることはないのだ。

平原綾香さんは2023年12月17日にデビュー20周年を迎える。
20年というと、人が生まれて成人になる年月だと、彼女は言った。
僕は僕で、彼女の声に初めて触れて20年が経ったことになる。
もうそんなに、月日が経過したのか。

今回は自分史上最も席運が良く、最前列のど真ん中で鑑賞することができた。
ファンクラブに入ってはいれど、1列目のチケットを手にすることは滅多にない。
20周年ということもあり、これまでの彼女の歴史を振り返るように、確かめるようにコンサートは進行した。
どことなく、デビュー当時の姿が垣間見れる瞬間が多々あった。
そして言うまでもなく、今回のコンサートのテーマは「命」だったのだろう。
振り返ると、命をテーマにした彼女の曲は多く、それはまるでこの日のために用意されたもののようにも感じた。
そして僕はそんな「命」をテーマにした彼女の楽曲が好きなことに気づく。

後日談

当日は1列目の(本当の意味の)ど真ん中で、もう二度とこんな席は引かないだろうと思うような席だった。これまで平原綾香さんのコンサートには何度も訪れたけれど、初めて訪れた「そらツアー」の衝撃を超えるような体験だった。細胞的には日々衰えていくであろう年齢に差し掛かっているにも関わらず、以前より何段階もパワーアップした彼女を僕は知ることになった。「今まで何度も何度も挫折しそうになったけれど、でもどこかでちゃんと見てくれている人がいて、努力は報われるんだ」と、彼女は言った。そして、20年経った今も、歌いたい気持ちは揺るがない。言い方が難しいけれど、まず人としてこんなに優れた人に出会ったことはない。たぶん。同じく最前列のど真ん中で星の形をしたライトを振っていた妻に向かって、彼女が歌いながら人差し指をくるくる回して微笑んでくれた。そんな行動は妻にしかされなかったこともあって、妻のテンションは爆上がりした。ちょうど就職活動中だった妻に次の日、内定の電話があった。あれは魔法だったんだろうか。何はともあれ、ありがとう、あーや。